HCD-Netでの講演

人間中心設計推進機構(HCD-Net)主催のセミナー「利用品質の理解を深めるためにソフトウェア品質を学ぶ」の第1回として,「ソフトウェア品質概論:ソフトウェア品質の基本中の基本の概念を学ぶ」というテーマで講演をしました。ご参加された方のほとんどはユーザビリティ専門家で,どのように受け止められるか少々不安でしたが,おかげさまでアンケート結果も良好で一安心でした。

講演後の質疑などを通じて,ソフトウェア要求定義や品質評価におけるユーザビリティの優先順位が機能適合性や信頼性よりも低い状況が話題となりました。それは多分,
(1) 顧客満足や製品の競争優位性とユーザビリティとの関係が語れていない
(2) ユーザビリティ要求とその要求水準が定められていない
(3) ユーザビリティテストで問題を指摘しても基準が明確でないので対応すべきかどうか判断がつかない
(4) 開発の現場では機能適合性と信頼性に関わるバグに追われて手いっぱいである
といった状況なのだろうと思います。

少なくとも(4)の状況を技術と組織的な取り組みで少しでも解決して,その分を(1〜3)の解消に振り向けられるようにしたい。そのために,ソフトウェア品質マネジメントの研究者として何ができるのか,考えさせられる議論でした。

このような機会をご提供いただき,誠にありがとうございました。

講演スライド(抜粋)